明治のたばこ王 岩谷松平展をみて

昨日、偶然とおりかかってたばこと塩の博物館に行った。

15年ぶりくらいに入ったのだが、きっかけは入り口の看板に興味を引かれたからだ。
広告の親玉 赤天狗参上! 〜明治のたばこ王 岩谷松平(いわやまつへい)〜


明治時代。
産業革命の真っ只中で、数多くの起業家を輩出したこの時代に最近とても興味がある。
学生の頃に誰かの講演で、
「日本は終身雇用、安定志向の国民性だというが、それは戦後のわずかな期間の話だ。
明治時代の日本は起業家精神にあふれていた。」
と言ったような話を聞いたことがある。


偶然にこの展示を企画した方の解説ツアーの時間だったので、
色々と面白い話を聞くことができた。


その中で特に印象に残ったのは以下2つ。

  1. 明治時代という変化の時代の中で、主流がそれまでのキセルから紙巻タバコに移っていった。それはおそらく時間感覚の変化ではないか。
  2. 近代的なCMがこの時に大きく発展した


キセルは、僕の周りに吸っている人がいなかったので
その時間感覚は体感的にそうぞうできないのだが、
祖父はシャーロック・ホームズのようなパイプを吸っていたから、少し想像できる。


今回の解説で言っていたのは、
やはりそれはゆったりとした、江戸時代の時間の流れの中での嗜好品だったそうだ。
それが明治時代に入って、
いつでもどこでも、すぐに吸うことができる紙巻タバコに庶民の嗜好がうつっていた。


どうしても現代とのアナロジーを感じてしまう。


IT革命、生産性革命、**革命、、、
人間の生活時間がどんどん早くなることなのだろうか。
時間に追われる革命と言うのは今の時代だけなのかと思っていたが、
考えてみると産業革命の結果、人間生活時間スピードは上がってきたのだなぁ。


今もたくさんの人が、生産性をあげなければ
スピードを上げなければ、という波に飲まれている。


そういう時代に即した商品を考えていくのが大事なんだなぁと思う。


そして、この時代の変わり目に新しい(より効果的な)広告手法が考案された、
というような切り口も面白かった。


インターネットという世界での収益モデルは
広告に帰着するしかないのか?というようなことを結構考えているので、
前の産業革命時代に生まれた広告、というものがとても面白かった。


たとえば自転車部隊の少年たちが広告を叫んで回ったり、
真っ赤な衣装をこの社長さんが着込んで街頭パレードをしたり。
テレビの無い時代に、広告にエンターテイメント性を盛り込んだ
というところが新しかったのだろう。


広告は見られなければ意味が無い。
⇒ 歩いている人が必ず目を留めるように
⇒ (テレビ・ラジオなどが無い時代)広告が自ら歩いてお客に会いに行く


(よく知らないけれど)今の広告の、ネット広告にまでつながる
基礎になることなのではないか。


最後は「たばこ」産業が外資M&Aによってのっとられ、
国の専売に移行するというある意味悲劇的な結末だが、
代官山に土地を買って、養豚業を始めたというこの岩谷翁の人間性もとても魅力的だった。


渋沢栄一など、この時代の起業家に学ぶべきことは今の時代にこそあるのだと思う。