Every Breath の感想(2)

エヴリブレス

エヴリブレス

本の帯によれば本書は「ピュアでリアルなサイエンス・ラヴ・ストーリー」で、
たくさんの人たちの出会いと別れが壮大に描かれていて、
そういう面にも感動して目頭が熱くなったのだけれど、
思いつく感想は、あとは自分のキャリアということ。


主人公の杏子は、大学院まで物理学の研究をして、
現実世界と理論のつながりを求めて、金融の道に進む。


そして自分の内なる声を、
「生命とは何か」という本とともに思い出していく。

金融は人間社会の縮図だと杏子も思う。しかし金融の考え方に社会を落とし込んだとき、そこにあったはずの本質的な問題は手のひらからこぼれ落ちて、物事はすべて矮小化されてしまう。人々はその不自然さに気づかない。手のひらに残ったものと懸命に格闘し、そこに残った世界の未来を予測しようとする。本当はみんな、もっと大きなことを考えていたはずなのに。

という言葉が重く響いた。


そういえば IT技術の道に行こうと思ったのも、
(それだけではないけれど)BRAIN VALLEY を読んで、
大きなことを考えるようになったからだった。


「手のひらに残ったものと懸命に格闘」する
ということは、生きていくために大事なことだと分かっているけど、
それだけになって、そこからこぼれ落ちたものを忘れてはいけないなと。


そもそも仕事として選んだ道は、
あの時の想いからは外れていなくって、
今の延長線上の分岐の一つにあると思っている。
というか、そういうような道を探していけばよいのだ。


なんというか、
思いがけずこれからの自分についての気づきを得た感じでした。