複雑な世界、単純な法則(2)

複雑な世界、単純な法則  ネットワーク科学の最前線

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線


今日は出張だったので、帰りの新幹線で多少読みすすめられた。
やはり、面白い。
サイエンスライターの人が書いているので、
専門知識が無くても読めるので、とっつきやすいと思う。


これら
自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)
の本を読んだ時に感じたワクワク感がまた味わえる。
やはり僕は複雑系とか、ネットワーク科学とかが好きなんだろう。
数学はとても苦手だったけれど、
こういうのを読むと、グラフ理論の勉強とかをしてみたくなるのだ。


今日は3章まで読んだので、そこまでのまとめを。

以前、
ここで書いたが、
六次の隔たり」という、ある実験的事実から話が始まる。


1960年代、アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムの実験だ。

ミルグラムは、カンザス州とネブラスカ州の住民から
何人かをランダムに選び出して手紙を送りつけ、
その手紙をボストンにいる彼の友人の株仲買人に転送してほしいと依頼した。
ただし、友人の住所は知らせなかった。


手紙を転送するにあたっては、
それぞれの人の個人的な知り合いで、
その株仲買人と社会的に「近い」と思われる人にだけ送るように頼んだ。


最終的には、なんと手紙の大半がボストンの友人のもとに届いたのである。


けれどもさらに驚かされるのは、手紙が着いた速さだった。
手紙の多くは何百回も投函されてではなく、六回前後でついたのだ。


これが、世界中の人は、その知り合いを6回辿っていくと全てつながる
という話の根拠となっている実験だ。
スモールワールドの実験ともいうらしい。
その後、様々な追試がなされたが、
この事実はおおよそ普遍的といえるものだった。


例えていえば、僕の知り合いの知り合いの知り合いの、、、と6人たどっていけば、
ビルゲイツにもたどりつくということだ。
信じがたいことだが、30年以上前から一つの事実として認識されている。


この現象はただの超常現象ではなく、
それを数学的に解釈をしていくと、辻褄が合う、という話が第1〜2章の主たる話。


すごい!
世界って、本当に不思議なことがまだまだある。
それを解明できる科学というものには、本当に魅せられる。


では、どのようにその謎が説明されているのか。


グラフ理論」という名前は以前から聞いたことがあった。
大まかに言うと、複数の点を複数の線でつなぐには、どうするのが最適か?
みたいな問題を考える学問らしい。


そのグラフ理論の中で、放浪の数学者ポール・エルデシュは1959年に、
理論的な最適解というものを解いていた。


問題はこんな感じ。

50の孤立した町があり、その町と町を結ぶための道路を敷く。
その際に、道路業者が無能なため、
頼んだ通りの場所には道路をつくってくれず、予測も出来ない。
(つまり道路(リンク)はランダムに結ばれる。)
さらに、予算がないためにつくる道路の数は最小にしたい。


この時に、50の町すべてが、
他の町と道路でつながるためには最低で何本の道路を作ればよいのか?
(A町からC町に行くのに、B町を経由していくというのもありなので、
1つの町から49本ずつ道路をつくるというのではない)


その解は、
98本の道路をランダムに配備すれば十分
とのことだ。


途中の数学的な解説は無かったのだが、
とても興味深い。
ちなみに、単純に全ての町を道路でつなぐと1225本になるので、
それから比べると、非常に少ない数で、全ての町はつながれる。

さらに驚くべきことに、
ネットワークが大きくなるにつれて、
必要とされるリンクの比率はだんだん小さくなることもわかった。

というのだ。
この辺が、本当に複雑系で感じた面白さに似ている
(一緒といえば一緒なのだが)。

300の点からなるネットワークの場合、
点と点との間にはりめぐらすことのできるリンクは約5万だが、
この5万のリンクのうちの約2パーセント弱のリンクが張られていれば、
ネットワークは完全につながった状態になる。


これが1000の点になると、
このきわめて重要な比率は1パーセントにも満たない値になる。


1000万の点では、その比はわずか0.0000016である。

この数字は、もしも人々が事実上ランダムにつながっているのなら、
世界の全ての人が完全に結合した社会の網構造でつながっているためには、
基本的には一人がほぼ2億5000万人に1人の割合で
誰かを知っていればいいことを示している。


つまり、一人が24人を知っていればいいのだ。

こうやって考えていくと、「6次の隔たり」は大げさで
2、3人知り合いをさがしたらビルゲイツが出てきそうに思える
(全人類の「知り合い」の平均の数が、24人というのは常識的に考えて少ない)。


ここから20年以上、この理論は停滞していたのだ。
というより、誰もこの研究をしていなかったそうだ。


だが、近年、より現実に近い解が求められた。



ここからが、いよいよ
「自己組織化と進化の論理」
自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則

と話がかぶってきて、面白くなってくるのだが、今日はここまで。


本の要約って、むずかしいな。。