GREE田中社長、グロービス小林さんセミナー
会社を抜け出して、
「GREE 田中社長が語る“ネットベンチャーの起業と成長戦略”」のセミナーに行ってきました。
2時間くらいでしたが、もっと聞いていたいような楽しい時間だった。
人数も少なかったので、田中さん、小林さんがすぐ近くにいたし。
いろんな話を聞けたが、
印象に残ったものをいくつか。
コストについて
ネット系起業は、運用するための技術力がとても重要。
オープンソース系の高い技術を使って、
アーキテクチャの、かなり下位のレイヤーから自前で構築しているため、
運用コストがものすごく低い。
逆に、これぐらい低コスト構造でないとやっていけない。ある程度までは、チープ革命でどこでもできることだが、
真の低コスト構造を実現するには高い技術力が必要。
GREEのサービス、広告ビジネス
検索だったりブログだったりという、
既存の、すでにありふれた技術を組み合わせることで
新しいサービスを生み出すことがこれから重要になってくる。インターネット広告市場は十分に大きく成長した。
十分に人が見るようなサイト、サービスであればしかるべき売り上げは立てられる。
あとはコストをどこまで下げられるかにかかってくる。ただし、広告をいかにビジネスとして成り立たせるか、
というのは、しっかりとやっていく必要がある。
人材について
ベンチャー企業は、人材がすべて。
いかに優秀な人を集められるか。採用は、人が来ないことには始まらない。
「こういうことをしたいから、こういう人がほしい」よりも
「この人が来たから、こういうことができた」というスタンス。ビジョナリー・カンパニー2が面白いことを言っていた。
「すごい会社になるには、すごい人を集めて、
その人たちで何ができるかを考えてやっていくことだ」
そう思う。ビジョンは結局メタ的。
一番最初っから、
こうしようというビジョンの通りにうまくいっている企業はほとんどない。
いい会社は、いい人を集めることにリソースをかけているところのように思う。
楽天も、創業期メンバーはみな優秀だった。
この段階で、どれだけ人を集めることができるか。
その点、GREEは運がよかったと思っている。
特に創業期の会社の採用基準は、
価値観 > 能力
である。
社内政治的なことが起こってしまうと、無駄に大きな労力を費やす同じ価値観の人が集まった方がいい。譜代と外様は、うまい制度。
- 作者: ジム・コリンズ,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2001/12/18
- メディア: 単行本
- 購入: 24人 クリック: 210回
- この商品を含むブログ (188件) を見る
Web2.0的なビジネス
広告以外の収入モデルはない。個人課金かeコマースくらい。
(FireFoxのように、募金という手もあるが)インターネット広告は十分に成長していて、
今後まだ狙うべき市場は大いに残っている。
成長
非連続な成長が大事。
現在の業務改善や、コスト削減、市場のターゲッティングといった
コンサルタントが分析・提案するような成長よりも、
非連続な成長を大事にしたい。それには会社を存続させる必要があり、
連続的な成長を続ける必要がある。Appleのi-podや、任天堂のDSなど、
非連続的なヒットの前には不振の時期があるものだ。
だが、そこで会社を存続するために、日々の利益をしっかり上げておくことが大事。市場はいつか必ず飽和する。
その時に、次の手を打つことができるか。打ち続けることができるか。
にかかってくる。Googleは、アフィリエイト以外のサービスを
今からどんどん始めていて、アフィリエイト市場の飽和に備えている。
その手を打ち続けられるということが、すごいと思う。
といったところ。
興奮さめやらぬうちに、だーっと書いてみた。
(田中さん、小林さんの発言が混交しています。)
自分として思うのは(これは梅田望夫さんも言われていたが)、
「きっと世の中こうなるはずだ」といって、
それに即したビジョンを持って起業する会社は、
うまくいかないか、違うことで成功する。
やっぱりやってみることなんだなぁ、と。
そこに今日一番の収穫は、
それには、価値観が近くて優秀な人を集めて、その人たちで何ができるかを考えること
だろうか。
とはいえ、僕がこのブログのメインテーマと掲げているミームに関しての発見もあった。
講演の中で、小林さんが
広告の本質は、費用対効果とブランドです。
というような趣旨のことを言われていた。
今 多くのネット広告は、この費用対効果がメリットである。
ブランディングって、よく考えるとブランドは、典型的なミームといえる。
まったく同じ物質的価値のものに、
「ブランド」という得体の知れない要素が加わることで、
市場価値が大きく変わる。
この人の心に存在する得体の知れないものこそ、ミームである
(という視点で見ることができる)。
ブランドという切り口は、ミーム学の応用分野として魅力的だなぁと思う。
ブランドがつくられる過程
を科学的に考察、分析できたら楽しいと思うし、ビジネスになるような気がする。
すでにマス広告には応用されていることだし。