複雑な世界、単純な法則(5)
- 作者: マーク・ブキャナン,阪本芳久
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/02/25
- メディア: 単行本
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他になにがあるか?
色々あるのだが、
脳の神経回路
インターネット網
というが、やはり僕の興味からすると一番だ。
前回少し触れた、ホタルの同期発火では
ホタルの群れはまるで各個体が他の固体の全てと連絡を取り合っているかのように、
いともたやすく同期発光を達成してしまうことを見いだした。
スモールワールドの構造になっているというだけで、
必要とされるリンク数を何千分の一に減らしてくれたのである。
ということが導き出された。
ホタルの発光が同期しているということは、
情報をやりとりしているということになる
(発光のON/OFFというのは、デジタルの0/1ともいえるし)。
ホタルの発光が同期した、というのは
情報処理の概念からするとどういうことになるかというと、
ある一固体のリズムをホタルの群れ全体に伝播させるという情報の伝播を送っているのだ。
この考え方(観点)が、脳にも適用できる。
脳の中の、数十億のニューロンが、
その1つ1つは独自のON/OFF(発火現象)を行っている。
だが、脳の中で意識が生まれる段階というのは、
意識というものはニューロンどうしが緊密に協調し、
全体として作りだすパターンによってきまるらしいのだ。
数十億のニューロンのうち、
いくつかわからないが、数百万から数千万のニューロンが
同期しているのだろう。
個々に独自のリズムをもってON/OFFできるニューロンが、
数十億という単位でつながっていて、
それが全体として一つのパターンを生み出す。
これが、スモールワールドのネットワークを用いることで実現されているというのだ。
複雑系の現象の典型例といえよう。
このスモールネットワークが、
自然のあちこちで、実は非常に巧妙に利用されている。
これだから科学は面白い。