外資系トップの仕事力


この本は面白かった。

今の自分の興味に合っていたこともあるのだろうが、
久々に本屋で立ち読み(256ページ中の130ページまで)⇒購入
というプロセスを経た本。
手元に置いておこうと思ったのだ。


この本がいいなと思った理由は3つ。

  1. テーマ
  2. 構成
  3. 戦略


1つ目に挙げたこの本のテーマは、
外資系で成功した人間の、人生の分岐点での思いを当事者の口から聞く」
ということだと思う。

どういうキャリアを歩まれたかは、
すでにマスコミ等を通じて公表されてきましたが、
彼らがどのような意識で、そのキャリアを選び、
またどのように考えながら仕事をされてきたのか、
については従来あまり語られることがなかったのではないか。
インタビューで伺ったのは、まさにこの点です。

この企画が非常に素晴らしいと思ったのだ。
ありそうでなかった企画だし、僕はちょうどほしいと思っていた企画なのだ。


キャリアアップのハウツー本は世間に溢れているが、
自分には、あまりしっくりとこないのだ。
それは「成功者を観察している誰か」が書いたものだからかな、
と思う。


もちろん名選手=名監督とは限らないのだが、
(今の僕のような)具体的な答えのない、人生設計的なことを考えるには、
どういう意思決定、モチベーションをもっていたのかということを感じ、
そのプロセスを疑似体験して自分なりの成功イメージを描くことが大事だと思う。
分子生物学のアナロジーでいえば(めちゃくちゃだが)、
表現系(どいういうキャリアを辿ったかという行動)をみてもDNAがどうなっているかはわからないが、
DNAをみればその表現系がどうなるかは予測できる、という感じ。
人の行動をみるよりも思考を見る方が、自分に適用させる学びとなる。
思考を学ぶには、その人の思考を疑似体験するのがよいと思っている。


その疑似体験をするに、
二つ目の点として挙げた「構成」がよくできている。

  • 本人の口で語られた内容だけで構成されており、インタビューアーの存在を感じさせない
    • あたかも自分が一対一で話を聞いているような錯覚を覚える。
    • (多少されているだろうが)編集のない、生の声なので、その人の思考や感情を感じ取ることができる(それが知りたいのだ)。
  • デザインが控えめで、外資系トップのクールながら鋭いイメージを出している
    • 本の装丁はかなりクール。だが、昨今のカラフルな装丁のなかでは異色に光る。
    • 写真も全てモノクロ。それが全体に心地よい緊張感を持たせていて、「本当に会っている」ような錯覚を受けるのだ。


最後の、3つ目に挙げた「戦略」は
この本を読み終わったときに気づいた。


最後のページの著者欄を見たら、
ISSコンサルティング」とあり、外資系転職支援会社だと言っているのだ。
これは一本とられた。
だが、最後までそれに気づかせなかったところはたいしたものだなと思う。
この本のインタビューアーがなかなか存在感を気づかせなかったのも作戦なんだろう。
ふふふ、やるな。と少し笑った。


文中の経営者の方含め、なかなかいい出会いだった。