ウェブ人間論(3)
- 作者: 梅田望夫,平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: 新書
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間があいてしまったが、残りの印象について。
脱身体化志向
2チャンネルという匿名の時代が過ぎ、ブログ・SNSを含め、ネット世界にのみ存在する人格
というものが出現してきたということか。
確かにこうやってブログを書いているのも、一つの人格だと思う。
僕は「書くことによって癒される」ということがあると考えているが、
平野さんは、一人の人間の人格を形成しているのが
ネットとリアルの2つの人格であるという考え方をしていて、それもそうだなぁと思う。
リアル社会で自己実現できていないとか、自分の言いたいことを自由に言えないとか、
そういう不満の結果として、匿名で、ネットの中に思いを吐き出している人たちもいる。
彼らには、リアル社会とネット社会という二分法があって、
その境界線が主体の内側に内在化されていて、
前方に一つのリアルな世界が開かれ、後ろ側にももう一つ別の世界が開けている。
その結節点に、主体が形成されているんじゃないかという印象なんです。
セカンドライフを少しずつ試しているが、
アバターというのはよりはっきりとしたネット上の人格だ。
人間が自分を規定する最小単位は何か(アイデンティティ)、という問いを、まさに体感できる気がする。
他者から認識され、意思を持って行動を起こす単位が、
画面の中に確かに存在するのだ。
自分で顔などを微調整して、「これは自分だ」という見た目をつくると、
ますますネット社会の中にいるもう一人の「自分」という錯覚を受けそうになる。
「攻殻機動隊(2)」で、世界中に身体(義体)をいくつも置いておいて、
自分の意思(ゴースト?)をネット経由で転送することで、
物理的な瞬間移動を可能にする、という未来が描かれている。
セカンドライフでは、物理制約に囚われないのでテレポートが自由にできるが
「ネット社会の自分」はよりリアルなものになっていくように感じる。
- 作者: 士郎正宗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/28
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時間感覚の変化
技術革命が人間に与える影響で一番大きいものは「時間」である、と思っている。
人類の誕生以来、時間は変わっていない。
それを感じる人間の方が変わっているというだけだ。
1年半前に書いたことと同じ印象。
スピード感は、文明ができて以来、早くなる一方なのではないだろうか。
技術と人間の脳の適応とのいたちごっこがこのまま続いていくだろう。
社会はそれに引きずられて変わっていくように思う。
人間が適応しきれないところは、社会的なルールを決めるというように。
システムで、「運用でカバー」してもらうところみたいな。。。
社会は人間の集合体。
(言ってしまえば)その時代時代のミームの集合体である。
ネット時代に入って、各人の心の中のミームセットが入れ替えられつつある。
一番興味深いのは、やはり脱身体化のところだろうか。
各人が同時に何重かの人生を生きるようになるかもしれない。
一日は24時間しかないので、その分、効率、スピードはもっともっと求められるようになる。
適応が大変そうだが、刺激的な世界であることは間違いない。
「脱身体化した自分」は、今の社会ルールが全て適用されないので、
ゼロから社会がつくられていく過程がみられるかもしれない。
ビジネスも、プリミティブな、これまでにない価値を提供する新しいものが多く出てくるだろう。
そのあたりに、とても興味がある。