フラゴナール

南仏・プロヴァンスの香水専門店Fragonard
日本唯一のショップが撤退してしまうとのことで、連れて行ってもらった。


なんてお洒落な感じだが、香水屋さんに望んでいくなんて生まれて初めてだ。
香水専門店という意味では、入ることすら初めてかもしれない。


表参道の骨董通り
こんなところにあったんだ!という感じで、
割とよく歩くところで、これまで何度も通り過ぎていたはずだが気づいていなかった。



僕は化粧品の匂いに弱く、
デパートの化粧品売り場を歩いているだけで頭痛がしてくるタイプなのだが、
ここでは全然 不快な気分にならなかった。


お店が閉まってしまうとあってか、客足は絶えなかった。
来ているお客さんはみな効き嗅ぎ(?)をしているので、
結構 匂いが充満していたのだが、あーいい匂いだな、と思えた。
天然ものだからなのか。
自分がちょっと大人になったのかな、とも思う。
(ここ1年ほど、家でお香を焚くようになったので、匂いに対して強くなったのかもしれない)



にしても、ヨーロッパのブランドは独特の気品がある。
優雅といっても華美なわけではなくて、伝統・歴史というものをポジティブに取り込んで、
自分たちの武器とするのが上手だ。


このお店でも、「物語」を大事にしている。
そもそもうちの彼女が「フランスにある香水の町の、二人の姉妹が社長をしている香水専門店」
という「物語」を聞かせてくれて、それを聞いて、僕も行ってみたくなったのだ。
店内にも香水の町(グラースというそうだ)の昔の写真が貼られていたり、情緒を醸し出している。



「香水」は目に見えないし、生活必需品というわけでもない。
効果がはっきりと現れるような類のものでもない。
生活が、ちょっと豊かになるだけだ。


こういう「モノ」を売るのには、物語はとても大事だと思う。
香水の違いなんて全然わからないような僕が、
まず行ってみようと思うなんて、お店がなくなるというイベントを差し引いても結構ハードル高いと思う。
そしてあとは「体感」させる。


売り物の香水は全部 効き嗅ぎ(なんて言うんだ?)が出来て、
瓶の横に、香水を吹き付けて匂いをかぐための紙が置いてある。
僕はこれをプシュプシュやってるのだけで十分楽しめた。


ここまでくればあとは「モノ」で勝負なのだが、
そこはやはり歴史あるブランドというか、これまで嗅いだ香水の中で一番よかった。
1つ買ってもいいなと思ったほど(「幸せの水」というやつ)。
姉の海外旅行土産に有名ブランドの香水を何度かもらったが、
一回くらいしか使わなかった、この僕がだ。



マーケティングだったり、ヨーロッパの暮らしだったりを垣間見つつ、
ちょっと優雅な気分を味わえた。
ネットで通販が出来るようだが、お店がなくなってしまうのは、少し惜しい。