アドバード

読んだのはもう、15年くらい前の気がするけど。。

アド・バード

アド・バード


最近読み返したわけではないので、内容はうろ覚えですが。
amazonのあらすじだと、こんな。

カタストロフィのはるか後、異常生物が徘徊する腐敗都市。そこは“広告”が支配する驚愕の未来だった。


椎名誠は、僕が一番好きな作家だ。
普段は本を作家の名前で買うことはない。
例外は椎名誠と、司馬遼太郎だけかなと思う(マンガやゲームは別)。


でも、椎名誠さんの本は紀行文ばかりを読んでいた。
それはそれでとても素敵な思い出がたくさんあるのだが、
ともあれSFをよく書いていることは知っていたけど、あまり読んでいなかった。


「アド・バード」の第一印象は、悪かった。
小学生の頃。
となりの席に座っていた女の子が、アド・バードを読んでいた。


そのころは「椎名誠」は名前しか知らなかった僕は、
「面白いの、それ?」
と聞いた。


女の子は、
「中学受験の試験問題として出る本だから。」
と答えた。


「ふーん」


それ以来、僕の中の椎名誠評価は、「お受験向け優等生文章」と勝手にされた。
(僕が椎名誠にはまるのは、高校生から。)



それから何年経ったか、椎名誠の大ファンになっていても、
そんな理由から、アド・バードは敬遠していた。


ある日、意を決して、ふとそれを手にとって、一気に読んだ。
なんとなくモヤがかったような、静かな独特の空気感は今でも覚えている。



静かな町の中で、もう滅んだ文明のなかで、売るべき「モノ」がもうない世界で、
広告ロボットたちは静かに広告を映し続けている。
インターネットなんて世の中にない時代になのに、こんな未来は描かれていた。


SFとしてはよくある話かもしれないし、
べつにインターネット業界の収入が広告メインなことも、
別に悪くないし、発展していくために収入があることは大事だと思う。



ネット覇権争いの主戦場は「広告マーケットプレース」に

何人かの大手広告会社の関係者と話してみたが、どうやら業界関係者は広告マーケットプレースが広告業界の究極の姿であることは早くから認識していたようだ。ある関係者は、いずれ広告の取り扱いも、金融商品の取り扱い同様にポートフォリオを組んでインデックスと比較しながら、トレーダーが頻繁に売買を繰り返すようになるのではないか、と指摘する。この人物は、広告業界の未来を先取りするために金融工学の研究を続けているという。

この記事を読んでいて、「これはすごい!」と思う反面、
ふっと「アド・バード」が思い出された。


べつにそんなイノセントな人間でもないし、
記事中にあるとおり、これはまんま「金融」の世界なのだな、とも思う。
そして、確かにこれはゾクゾクするほど面白いだろうな、とも純粋に思う。


金融業も、昔はモノの売買から始まった。
デリバティブのような金融工学の世界は、
たしか農作物の気候による収量のブレを軽減するために発明されたものだ。
インターネットも、同じ道を辿っていくのかな、と思う。
一つの完成された、「ビジネス」の世界へむけて。



ただ、ネットの世界がどんなに発展していっても、
そこにある「無為な楽しさ」であったり「アイディア発見の楽しさ」であったり
今ある「混沌」から生まれてくる不思議な面白さはいつまでも残って欲しいと思う。


と思いながらニコニコ動画を見ようかな。。。