広告の費用対効果

だんだんインターネット広告業界も難しくなってきた気がする。
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でも、色々と面白いことを考えるきっかけになった。

マイクロソフトヨドバシカメラ

マイクロソフトの広告経由で商品を買うと、キャッシュバックされる。キャッシュバックの額なんてどうせ対したことないんだから、これって消費者にとってそんな魅力的なのかなぁ?ということを考えていた。
それで僕なりの結論は、これは要は、家電量販店でやっているポイントと一緒なんだということ。ウェブで買う時って、直接メーカーから買うことが多いので、値下げされていることはあまりない。それをマイクロソフト経由で買うと、すこしキャッシュバックしますよ、と。
本当に小売店化していくなー、と。どうせだったら、マイクロソフトポイントみたいなものにして、もっとがっちり囲い込みをかけてしまえばいいと思ったけど、それは無理か。でも、家電量販店も同じ道を辿ってきたんじゃないか?昔はどこの店も「安売り!」だった。それがだんだん世間に認知されるようになってきて、家電量販店だけの競争になってきてからはポイント制で値下げ分を囲い込みの制約にしてきた。だからマイクロソフトがこの戦略をとると、将来的には同じことが起きるように思う。

広告の商品単価

こういう競争は、広告主からしたらいいことだというのは間違いないと思う。でも、こうやって厳密に成果が分かる、プロセスが洗練されて透明化していく、というのは結局、製造業が辿ったように、利益率がどんどん下がっていくことになっていくと思う。過去を振り返ってみると、ウェブ企業が既存の広告業会に対して売りにしたのは(低コストというのもあるけど)、広告の費用対効果がわかるということ。費用対効果がハッキリ算出されるようになると、顧客は無駄なお金を出さなくなる。それまでは効果が分からないから、ある程度どんぶり勘定的に費用は算出されてきたんだろう(と思う)。コストに対してどれくらい利益を載せているか、ということが顧客側からはなかなか見えない。だから結構利益を載っけてるんじゃなかろうか。


だけど、コストがはっきりと分かっていくと、顧客側は当然 払い渋るようになってくる。製造業のコストはちょっと難しいかも知れないけど、これがレストランだったりしたら感覚として、「これは高い」とか「お買い得」とか思うだろう。(コストが透明な業界ほど厳しいお客様に対峙しているということですね。。。)


なんにせよ、こういう競争が進んでいくと、いずれ広告業界というのも利益率が下がっていくのだろうなーと。それは顧客からしたらいいことなのだけど、広告業会ってすごくたくさんの代理店が林立しているところだから、その辺りを全部 養っていけるだけの仕組みは破綻してしまうのではないかなーと勝手に心配してみました。

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

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利益の方程式=(商品単価ー獲得コストー原価)×顧客数
そうなっていくと、「広告」という商品の単価を上げるのは何になっていくんだろう。
製造業の場合、デザイン(クオリア、みたいな)というまた目に見えないところに答えを見いだしているように思うけど、広告の場合って、そもそも顧客の心の動きを扱う業界だからなぁ。その心の動きの結果がシビアに分かりすぎちゃうと、ブランドとかつけづらくなってくるような気がする。