[雑感] 期待のネット家電

これは楽しみ。
デジカメ時代の「写ルンです」作る--人気ブロガーが設立したネット家電ベンチャー、本格始動 - CNET Japan


どんなものをつくるのかなぁ、と思っていた「キャズムを超えろ!」の和蓮和尚さんのベンチャーが初めてつくるプロダクトは、デジカメとのこと。


最初、なぜにデジカメ?と思ったけど、これって「イノベーションのジレンマ」「イノベーションへの解」を忠実に守った、ベンチャーの強みを活かした戦略なのかなと思った。すごく勝手に分析。
※「イノベーションの〜」シリーズは、こちらの解説で復習。
Life is beautiful: 図解、イノベーションのジレンマ
Railsが成功しEJB3が失敗したわけ - ひがやすを blog



デジカメ市場って、主に「いわゆるデジカメ(コンパクト)」「一眼レフ」「ケータイつきカメラ」にざっくり分類できるかなと思う。
市場自体は、
キヤノンMJ、第1四半期はコンパクトデジカメの売上減が響く
ニコン、デジタル一眼レフが好調で過去最高益を更新

デジタル一眼レフカメラは、前年同期比35.9%増と大幅な成長を遂げたものの、デジタルビデオが前年同期比11.3%減、コンパクトデジカメが同じく11.3%減と、2桁のマイナス成長となったことが大きく響いている。

一消費者としても、これは実感できる。
コンパクトデジカメはもう普及してて(持っていて)、「写真を撮る」機能も十分満足しちゃってる。買い替える理由をあまり見つけられない。写真を気軽に撮るようになってきて、いい写真撮りたいなと思うと最終的にはいいレンズが必要になる(と思う)ので、買うなら一眼だな、という感じ。
破壊的テクノロジー」はケータイつきカメラ。持ち運ぶ、最低限の画質で日常の日記として写真を撮るというのは、もうケータイの仕事になった感がある。コンパクトデジカメは、まさに「十分以上に良い」状態にいるといえる。


ただし、これがネット家電という視点に立つと、デジカメはまだまだ「製品が十分でない」という状態にある。
だってデジカメで撮った写真をネットにアップするのめんどくさいもの、未だに。
デジカメとか - wa-blo
ちょっと前に書いたことだけど、

今のSDカードやらを介してパソコンに転送する手間を無線LANで省いてあげるよ、というアプローチでは不足ということ。そんな魅力的じゃないと。
でも、Picasa 連携とかしてとった側からPicasaウェブアルバムにアップロードできますよ、とかさらには GPS もついてて、位置情報も含めてアップロードしちゃいますよ、とかいうデジカメが出てきたら(そしてそれを実現するユーザーインターフェースがよければ)一気に普及するのではないかなと。

なんて思ってます。「ネット家電として製品が十分でない」分野を狙っているのでしょう。


で、その実現手段として、イノベーションへの解にある

製品が十分でない状況では統合が、そして製品が十分以上に良い状況では外部委託に、つまり専門化や特化が有利であることを、われわれは発見した。

をやってるなぁと。

  • デジカメの組込みからウェブの写真管理サイトまでソフトウェアは自社で統合
  • ハードウェアはファブレスで自社工場を持たずに外注

というスタンスはまさにいいとこどりかなと。
ベンチャーでハードウェアつくるの大変だろうなと思ってたけど、やはりそこはファブレスになるのですね。)
そうそう、今はデジカメとウェブサービスが本当につながってない。ウェブサービス側はすごく頑張ってると感じるけど、デジカメ側はまだまだ。


という感じで戦略的には非常に今のニーズをとらえていると思う。
あとはやはりデザインとかになってくるのか。
実際のもの(ソフトもハードも)を見るのが楽しみです。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

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イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

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