あたらしい戦略の教科書

酒井穣さんの『あたらしい戦略の教科書』発売記念講演会にいってきました。
(公私ともに立て込んでいて更新が遅くなってしまいました。 m(_ _)m)

あたらしい戦略の教科書

あたらしい戦略の教科書


酒井さんは初めて拝見しましたが、思っていたのとは大分イメージが違った大柄な方。これならオランダ社会(とても長身な人が多いイメージ)でも、自然にやっていけそうだなと。
ご自分でもよく見た目とイメージのギャップがある言われるという話をされていましたが;とても細やかな気遣いというか、会場の空気を感じながら話を変えている感じで、気配り上手な方というイメージ。そのおかげか外国から帰ってきた友人の話を聞いているような、とてもリラックスした雰囲気の講演会でした。会場から適宜、質問(かけあい?)を飛ばしていた小飼弾さんとのやりとりも絶妙でした。


セミナー自体のまとめは、うちのコがよくまとめてくれているのでこちらを。
シャム猫さんのおしゃれ通信:酒井穣さんの『あたらしい戦略の教科書』発売記念講演会 - livedoor Blog(ブログ)


本も含めて僕が印象に残ったところを

差別化

今回の講演会のメインテーマ。

酒井さんの場合は、そもそもなぜにオランダ?
というところが、まず一番の差別化。
転職を考えた時にシリコンバレーもあったけど、あえてオランダを選んだとのこと。シリコンバレーにはすでにビッグネームがいっぱいいるので、もしシリコンバレーに行っていたらビジネス書作家としても激しい競争に晒されるということ。
なるほど、ブルーオーシャン戦略ということかなと。こうやってちょっとずつ人生の判断基準に戦略を取り入れていっているのかなぁと。

ちょっと離れて、視点を変えてみる

講演のスライドは、だいたいテーマのイメージを一枚の写真で表現したもので、想像力を刺激されました。で、この時の絵がとても分かりやすかった。
たくさんのイケメン達が折り重なって踊っている集団と、少し離れたところにポツンとしゃがんでいる少年。
イケメンたちはレッドオーシャンの中で必死に踊ってるんだけど、その少年はポツンとかがんでいるだけで一番目立っている。

この絵は色々と含蓄があって、踊っているイケメンたちはきっと、流行のダンスを必死に覚えて、ファッションもお金をかけて、頑張って踊っているのだけど、ポツンと離れた少年は、何もしていない。でも彼が一番目立っている。少年は、集団に属さないで一人でいるということと引き換えに、彼の好きなようしていられる。「目立つ」ということが目的であれば、無理して頑張ってもいないのに、彼が一番結果を上げている。

自由ってこういうことかなとか思ったりした。

武器は一種類ではない

では、必死に頑張って踊っているイケメンたちはどうしたらいいのか。
集団で頑張って踊っている人達は、十分にレベルが高い。だけど、みんなが踊っている場では、そこで目立てるのは一番踊りがうまい人だけ。
そこから一歩外に出てみよう、と。
自分の武器は踊りだけじゃない。それに気づけば、バリバリなレッドオーシャンでやってた実力があるのだから、きっとうまくやってける、と。

「踊り」を「Javaプログラム」や、「システムエンジニア」に置換してみるとわかりやすいw

自分の武器って?

じゃあ、何が差別か要因なの?
自分の武器なの?
という話が会場からも質問があった。
これを見つけるのが、難しいなーといつも思う。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

これはよかった。(ちなみに僕の資質は、<個別化><収集心><着想><内省><包含>)
自分の強みは、
・自分が強みだと思っていることではないかもしれない
・自分が好きな特性ではないかもしれない
けど、強みを正確に把握することは大事。


で、酒井さんが言われていたのが、日本は最後の仕上げをするのが上手。外国はみな苦手。仕上げに特化して、海外から受注すればよいのでは、というアイディア。なるほどこれって素晴らしいアイディアだと思った。
僕自身、仕様書の誤字脱字チェックとか苦手で色々はまってますが、逆を言うとお客さんがものすごーく細かく見てくださっている。海外の銀行と日本の銀行の経理の細やかさは、きっと何万倍も差がある。これって日本人の本当にすごい能力だなーといつも思っているのだけど、こういう几帳面さって、あまり好意的には受け入れられてない。特に若い世代には。だけど、そういうところにこそキラッと光る資質があるのだなぁと。本当に面白いかもしれない、こういうビジネス。

情熱

この話は講演会の中ではあまり出なかったのだけど、本の中で僕が一番 印象に残ったのが「情熱の伝染を起こす」という章。
どんなに立派な戦略があっても、それを実行に移すのが何より大変。
実行に移すとは、多くの人の意志を揃えて、実際に動いてもらうことだから。

本書の中では、その処方が、地に足の着いた具体例として書かれている(この抽象論にとどまらずに、現場の泥臭さから目をそらさずに対応策を提案されているところが、酒井さんの本の一番素晴らしいと思うところです)。「組織内にやさしい空気をつくりだすために笑う」とか。

で、僕が「人を動かす」のに一番大事と最近 思っていたのが「情熱」だったので、この章はツボでした。
確かに何かの改善案をだしたり、新商品を考えたりして、まわりの醒めた空気をどうやって変えるかというのは本当に難しい問題。僕も1,2年目くらいまでは自分の情熱だけで頑張ってたけど、伝染まで至らずに燃え尽きたみたいな経験も結構あるなーと。

他人に対して、自分の熱い思いを伝えるためには、正義感をベースにしたコアそのものを語るようなことはむしろ避け、自らの情熱を実際の行動や態度で示すことが必要だと思います。
近道はないと覚悟を決め、あきらめず、愚直に戦略の実行に当たることが、結果としては、情熱の伝染を起こすための最短コースだということです。

納得。
四の五の言わずに背中を見せる。自分もついていくとしたらそういう人だなと
(いざという時に熱い思いを語れる、というのも必要だけど)。

おまけ

以下、僕と同じ会社のみなさんへの業務連絡。

講演会の質疑応答の時間に、「日本の会社で、現場から立ち上がった戦略がうまく機能しているような具体例はありませんか?」というものがありました。
酒井さんがしばし考えられ、「○○○○(うちの会社です。。)ってとこが、そうかもしれませんね!」
と言われてました!!!

この瞬間は隣に小飼弾さんが座っていたことよりも驚きました。。。


うーむ、戦略は現場から立ち上がってきて、自分たちで実行に移されている、というのは世間の他の会社よりもよくやっているんじゃないかなと思います(他の実際を知らないけど)。仕事のルールを自分たちで日々決めて、やっているという点では。会社もかなり委譲してくれているし。
でも結果自分たちの立てた戦略が生産性向上につながっているかというと、まだまだ発展途上ですね(と思ってます)。。。
もっとうまくやれるはずだなと。


それが「あたらしい戦略の教科書」を求めていたモチベーションです。
期待通り、今必要なことが結構 書かれていました。
まずはうちのチームで日常的に実施できるように、もう何回か読み込もうかと思います。