ライト・(イン)サイト

ICC ONLINE | ƒA[ƒJƒCƒ” | 2008”N | ƒ‰ƒCƒgEmƒCƒ“nƒTƒCƒg\Šg’£‚·‚éŒõA•Ï—e‚·‚é’mŠo
観てきました。
意外とおもしろかった。

この展覧会は,自明すぎてあらためて振り返られる機会の少ない「光」という存在の過去,現在そして未来の可能性を,「知覚」という切り口を通してアートと科学を超えた視点から新たに照射するものです.

作品リストはこちら。
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入ってまずおもしろかったのがこれ。
《サンキュウ―インストゥルメント》1995年 インゴ・ギュンター
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(おそらく)壁と床が蓄光素材でできていて、真っ暗な部屋の中で30秒に一回ストロボがたかれる。そうすると、自分がの影以外はうすぼんやり光るようになるので、影がその場に残る。残像ではなく、物理的にしばらく自分の影がそこに残っているので、最初に「あれ?」と思ってしばらく考えてしまった。
理由がわかってしまうと、ちょっと楽しい。
自分の「跡」を、こんな形でその場に残せるということが、新鮮な驚きで楽しんでしまった。

人々が無邪気にシルエットと戯れ始めるという開放的な側面をもつとともに,1945年に広島に原爆が投下された直後の閃光,そして瞬時のうちに消えてしまった人々の残したシルエット(ヒロシマの影)を,観客に疑似的に体験させることが意図されている.

本来のコンセプトは、こんな深いものだったとは気づかなかったけど、このコンセプトを知ると、これはこれで非常にインパクトの強いインスタレーションだなと。
先日 テレビで火山の噴火で一瞬でうまってしまったポンペイ遺跡にある人の跡(立体的に残っている!)をちらっとみたけど、ああいう感じ。日常が続いていた最後の一瞬,という形で、今は失われてしまったけど、広島にも焼き付いていたのだなと。



次に観たのは、
《PRINTED EYE(LIGHT)》1987―2008年 藤本由紀夫
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体験者が自分の眼に向けて網膜に弱いストロボ光を発することで,文字の残像を作品として体験させるもの.

LIGHT という文字が焼き付けられました。
これも結構新鮮なおどろきがあった。
目を閉じると、そのあと数分間はLIGHTという文字がハッキリ見える。鑑賞者の目に、文字通り「焼き付ける」というのは、かなり攻め気な、おもしろい作品だなぁと。
じわじわと消えていく文字が、ちょっと特別に、愛おしく思えてしまったりした。



ZEISS 協賛!という、元ZEISS顕微鏡ユーザーとしては外せない展示がこちら。
《思考プロジェクター》2007年 エイリアン・プロダクションズ
自分の目と網膜のどアップ画像を最先端のカメラで撮ってくれて、壁一面に投影してくれます。
何ゆえ・・・という感じでしたが、

発明家のニコラ・テスラ*が1933年に語った,「体験者の思考を(網膜を通して)撮影するカメラ」,という実現されなかった構想に触発されたインスタレーション作品.

というオマージュだそうな。
気合いが入っているのは、取った画像をウェブ経由で即配布してくれるということ。
ぼくの目はこんな感じです。考えてることが見えるかしら。



《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2008年 エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド
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暗い空間の中で眼が慣れてくると,中央にある水で満たされたアクリル性の球体の中に,音から変換された繊細な光の揺らめきが微かに見えはじめる作品.さまざまな周波数の音波群が,水に含まれる化学的な媒質を通過する際に生じる「音ルミネセンス」現象(音波の通過により冷光が発生すること)により,直接光へと変換され可視化される.構想段階では科学者にさえ不可能と思われた現象を,日本,ドイツ,ロシア,ベルギーの科学研究所とともに開発.タイトルにある「観察室」は,起きているミクロな現象が,特定のマージナルな状況の時のみかろうじて可視化されるものであること,また計測装置の精度の限界のため,現象を科学者でさえ把握できないことを意味している.

これはすごくキレイだった。
そして、これも気合いが入った展示。
観る前には、微弱な光に気づけるようになるため、3分間真っ暗な部屋でじーっと座って、目を暗闇にならすということから始める。
日頃、昼夜問わずにネオンやらテレビやらと言った激しい光に晒されている現代人には必要なステップですね。
惜しむらくは、観る順番的にこの前に網膜撮影をしており、左目にその時のフラッシュ残像がずっとのこっていたこと。せっかく目を慣らす時間をもらえても、本来の視力は発揮できずで、少しぼやけてしまっていた。ともあれ、自分が浮かんでいるような気分になる、不思議な体験でした。



《You and I, Horizontal》2006年 アンソニー・マッコール
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ミストで満たされた部屋の中で、幾筋かの平面型の光がさしていて、光の彫刻のように見える。
たまに乱流が起こされたりしていて、空気の流れが光の平面にうつったりしてキレイ。
・・・もうこれは純粋にキレイだった。




この展示会全般を通して感じたのは、
物理現象(光学)の再発見、という感じ。
物理現象としての光って、こんなに美しいんだよ、みたいなことを感じた。


光は目に入る情報をのせているいわばインフラ的なもので、それがなければ何も見えなくなってしまうのだけど、それ自体の存在は感じていない。空気みたいなもの。そういうものでも、よく観察すれば、こんなに奥深いのだよ、というような感じですね。まさにサイエンスみたいな感じですが。


当たり前に思っているありふれたものでも、その性質をちゃんと知れば、美しいもの・特異的なものを創りだすことが出来るということかな。