人にやさしく、自分にやさしく

本棚が届くのは来週でした。。。。orz


という失敗を乗り越えるべく、読んでみた結果
読前、読後の印象が(いい方向に)かなり違った。

「失敗学」の畑村先生と精神科医で有名な和田秀樹さんの対談本。


タイトルに「技術」と銘打ってあったので、
失敗学と精神医学が体系的に説明されるような本かと思っていたら、
大いに違って、ものすごく現実的な、実践的な話。
「技術」という言葉の定義は、誰にでも再現可能なこと
みたいに考えれば、題名には偽りなしだと思う。

ストレス社会に押しつぶされないために

文中に出てくるアドバイスも
「本音と建前」でいうところの「本音」の方をぶっちゃけてくれている。

畑村 正直に全部告白すると、その瞬間から責任追及が始まって、妙な倫理観で一方的に攻撃されることもあるんです。失敗への対処法としては、そんなやり方は本来ならインチキです。そういう環境にあるならば、隠せるならば隠せばいい。現実にいちいち全部を報告していたら、その人の立場が危うくなってしまうだけです。


和田 しかし、隠し続けることが本人の心理状態に悪影響を与えるようなら、それも考えものです。


畑村 それからもう一つ、一度ウソをつくとそれを取りつくろうためにまたウソをつき、どんどん雪だるまのように失敗が大きくなっていくという悪循環の問題もあります。そういうときの一番楽な対処法は、どこかでバレたと思ったときに素直に「ごめんなさい」と謝ることです。本来なら、それは早い方がいいに決まっています。

みたいなやり取りが多い。

これは、失敗の専門家ということで日本中の失敗の構図をたくさん見てきたであろう
畑村先生が言うと、ものすごく重い言葉だなと。
失敗による精神的な病理について書かれているので。


失敗は行動の結果について回る、不可避な事象
行動の97%は失敗、というくらいの気分でいいと。
だけど、大事なのは起きた失敗を観察し「なぜうまくいかなかったのだろう?」と学ぶこと。


でも、組織ではこの失敗を言い出しにくい環境が多い。
そうかといって、馬鹿正直に失敗をすべて報告していたら、その人は馬鹿をみる。
だからその辺はうまいこと逃げちゃって、
まず自分を守ることを最優先させていいんだよ、と言ってくれている。


たとえばシステム開発の現場とかって(どこも一緒かな)、技術は複雑で目に見えないし、
失敗すると結構つけが大きいし、納期は短いし、人は少ないし、
現場の個々人のストレスは相当大きいと思う。
それに押しつぶされずに賢く生きるための「技術」というのが本書にはいっぱい書かれていたなと。
被害最小の論理とか、気分転換の重要さとか。


もちろん、失敗が起きる原理というのもちゃんと書かれていた。
キーワードは、ステレオタイプに陥りすぎないと言うこと。
経験偏重でも、理論偏重でもいけない。
やっぱり「自分で考える力」が大事。


人間の本来の力

あと、ちょっと面白かったのは、

和田 「人間の判断に任せるとおかしくなるのだから、機械で全部やればいい」という発想もあるようですが、これほどナンセンスなことはありません。

というあたり。
ちょっとステレオタイプに陥っていた自分を反省。
もうちょっとバランスをとる、ということを考えないと。


この本を読んだ後で思うと、
人が本来の力を出せるような組織/環境づくりというのが、
今/これから最も求められているんだなぁと。
そう思いました。
最近考えているアイディアは、少し考え直してみよう。