ドル崩壊までにできること
田中宇さん、糸魚川順さん、瓜生健太郎さんによる、立教大学での公開シンポジウムに行ってきました。
ものすごく充実した、濃い3時間半だった。
2008年度連続公開シンポジウム 《未来の声を聴こう》 法学部講演会 -世界的な金融危機の拡大と日本企業の海外ビジネスの新たな展開- | 立教大学
田中宇さんのメルマガは、途中空白期間がありましたが8年前くらいからずっと購読してます。
最近ではうちの奥様も好きになったので、我が家の夕食の話題になることも多い(^^)
講演会などに行ったことはなかったので、初めてご本人に会えました。
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この金融危機はなんなのか
講演の内容は、この金融危機はなぜ起こったのかということを
いつも通りとても論理的に、事実の連鎖から説明してくれました。
政治、経済と色々な思惑や事実が複雑に絡み合って今があるのだなと。
講演会中に取ったノートを、
僕なりの理解で、ものすごくざっくりとまとめると、こんな感じ。
※あくまで主観的なメモなので、間違いもあるかもしれません。
田中宇さんの話
- ニクソンショック以降の40年の経済的な出来事
- 金融危機、きっかけは利上げ
- ドル破綻へのシナリオ
- '99年のグラス・スティーガル法が廃止され、商業銀行の投資銀行業務が可能に。
- 商業銀行がデリバティブ、レバレッジ金融をやるようになる。
- アメリカの4大バンクは、アメリカの全資産の2/3くらいを保持しているけど、これらが潰れそう。
- アメリカは国として、こうした大銀行をつぶせない。連銀が救援にでてくる。
- 連銀はこれまでも「隠しポケット」をもっていて、焦げ付いたジャンク債を裏で引き受けたりしていた。
- これまでは景気が回復してきたので、こうしたジャンク債もあとで売れて、利益を出していた。
- でも今回は景気が回復するとは思えない(回復するにしても間に合わない)
- ドル破綻は不可避であろう。。
- 金融危機は仕組まれている?
- ベアスターンズ破綻あたりから社債が売れなくなってきた。
- CDSなどの投資商品は情報開示規制がなく実態が見えづらいので、サブプライム問題発覚後に不安感増大。
- 結果、LIBOR(ロンドン銀行間出し手金利)が高騰(機能不全)。これが金融不安の根源。
- LIBOR の機能不全を解消すれば、今のような事態はなかったはず。時間をかけてでも、情報開示を進めてLIBORの正常化をはかるべきだった。
- でも代わりに行われたのは、連銀によるドルの貸し出し。これってわざとじゃないの?
- 他にも、、
- アメリカはドルを発行しすぎてる(増刷15%/年)。これは刷り過ぎ。
- ガイトナーの演説は、あんなに不安感をあおっちゃっていいの?強気の演技くらいできるはず。
- イラク戦争で大量破壊兵器なんてなかった。なんて認めちゃっていいの?ねつ造くらいできたはず。
- これからどうなる?
- 案1:世界通貨をつくる。これってイギリスが望んでいることだけど、イギリスはもうガタガタだから多分できない。
- 案2:TAX HEAVENとヘッジファンドの規制。フランスが提唱している。これによって、ドルペグしている中国やサウジもドルペグから変わる。そして地域ごとの基軸通貨を使うように世界は多極化していく。アジアであればチェンマイ・イニシアティブとかの動きはある。
瓜生さんの話
- 3つの不均衡
- 金融
- 膿みはまだまだでてきそう。
- 実体経済
- 今はアメリカの過剰消費が冷め、供給過剰になっている。これを本来的な数値に調整していく必要がある。その場合の成長悪化率は、前の大戦/恐慌前夜よりもひどいものになる。(最近では10%/3ヶ月という驚異的な数値がでた。)
- ドル
- 過剰評価されている現実。崩壊のシナリオも、徐々に多くの人にとって信憑性のある話になってきている。
- 金融
- これからの日本は
などなど。
本当に濃密な、面白い内容満載でした。
パネリストの3人は、本当に知識/経験が豊富で、
それぞれに明確な意見を持たれていた。
やはり事象を理解するには、その経緯・歴史を理解することが大事なんだなという思いを新たにした。
ドル崩壊が避けられない状態になった今、
「なぜ?」ということよりも、それに対して「どうする?」ということが優先。
日本はすでにグローバル化という点で、もう戻れないところにきてしまっているので、
基軸通貨の崩壊をどう乗り越えていくべきなのか。
そこから新たにつくり直していく過程で、やはり製造業を主体にやっていくのか。
製造業の端っこにいる人間としては、
アジアの台頭をひしひしと感じる中で、それはとても厳しい道ではあると思う。
かといって他に道は見えていない。
グリーンニューディールも、製造業が中心になっていくように思えるし。
あとは製造業の「仕組み」づくり、高度な技術、高付加価値といったところか。
アジアに対してのモノづくりは、当分のところ成長が見込めるだろう。
先進国の中では、もう少し「人間の能力」とか「体験」といったところにお金が集まるように、
個人的な感覚としては思う。あくまで感覚だけど。
ドル崩壊前夜にどうすべきなのか
ということを、最近よく考えてます。
まぁ、それどころじゃないもっと身近な会社の問題もありますが、
2009年を生きている一個人としては、この問題にちゃんと自分なりの考えを見いだして、
自分の人生の方向性を考えないといけないなと。
卑小なレベルで、自分がどう生きるべきかという問題について考えると、
- 成長市場を向いた産業にいく(アジア)
- (ドルが破綻した場合、いったん全てがリセットされるという可能性があるので)自分でゼロから商売ができる力をつけておく必要がとてもある
- 講演の中で、ヨーロッパで革命が起き、それが日本に伝播してくる可能性の話があった。その時に、政治を志している人は活動をすべきで、実業を志している人は事業を興すといいと。僕は実業がやりたいので、この時に動ける実力をつけとくのが人生の目標になるなと。
うーむ、、、、、、
自分の金融資産をどうする、みたいなのはもうちょっと具体的になるけど、
キャリアプラン的なものには表面的にはすぐに結びつかないなあ。
そんなにすぐ答えは出ないと思いますが、もっとちゃんと考えようと思います。
偶然、自分のキャリアプランを考え直すべき機会を与えてもらってるような状態なので。
とりあえず、世界の大局を自分の生活にまで噛み砕いて行動できるようにはなりたい。
今回のシンポジウムで、今、世界で何が起きているというのは自分なりの理解をすることが出来た。
これからは、各種情報をウォッチして、自分なりにそれをアップデートしていこう。
これが今日一番の収穫です。
※ 「Money as Debts」 これを見てたので、結構「お金」というものの理解があった気がします。
おすすめ。
http://video.google.com/videoplay?docid=-446781510928242771