知的蟹工船時代の考え方
タイトルに偽りなし。
- 作者: 神田昌典
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/06/12
- メディア: 単行本
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神田昌典さんが、これまでの経験を凝縮した本というふれこみも、なるほどという感じ。まんべんなく、天網恢々粗にして漏らさず、に頭の使い方が書かれている。本書は459ページあったけど、それだけあって、偏りなく幅広い分野を網羅している。
この「偏りない」頭の使い方、というのが本書のメッセージだったように僕には感じられた。
知的蟹工船
このキャッチフレーズが、さすがにダイレクトマーケティングの第一人者だなぁと思った。
この短い言葉で、今の人たちの多くが感じているなんとなくの不安や、ストレス、疲れを、強いメッセージ性を持たせながらも説明している。
ちょうど最近思っていたのが、自分がやっている仕事の中で「情報を整理する」という仕事の割合がすごく多いなぁ、ということ。
今は要件定義〜仕様決めあたりをやっているからかもしれないけど、掴みどころがなく、すごい勢いでたくさん流れている情報を、片っ端から「整理する」という感覚がある。
何人かの人の頭にあるもやっとした状態のイメージを、システムで流せるように、無理や矛盾がない状態に整理していく。そのためのツールとして、UML やら マトリクス を多用する。そういうことをしていることがすごく多いなぁと。
これって、頭の使い方としてちょっと偏ってるなぁ、と思うようになっていた。
「知的蟹工船」と表現されているように、最近のホワイトカラーの多くは実はブルーカラーだというのは、多くの人が笑えない話だと思う。でもなんでなんだろう?という疑問に答えるのは、とても難しい。この本を読んで、僕はその原因が「偏った頭の使い方」にあるんじゃないかなと思うようになった。
偏った思考・行動
どんな風に偏っているのか。
論理思考、問題解決的思考、、、ここ数年で一気に普及したこうした考え方に、IT・ウェブといったバーチャルな力が掛け合わされたことで、多くの人が、頭の中だけで完結してしまう論理パズルに埋没してしまっているのではないだろうか。
つまり、
- 左脳的な考えに偏っている
- バーチャルな世界に偏っている
※ 論理思考・問題解決思考自体は決して偏った考え方ではない。それらはあくまでツールだ。大前研一さんなど、論理思考を広めている人たちはそのことを分かっているし、そのことを伝えている。けれど、本やネットだけで得た知識でそれを真似ている人たちの多くは、表面的な理解に留まり、思考ゲームの罠にはまっている。(自分の反省含めデス。。)
私の見解では、情報社会とは、情報を収集・整理することが付加価値となる社会。
それに対して知識社会とは、収集・整理された情報から生み出された新しい気づき・アイディアを実際に、行動に移すことが付加価値となる社会だ。
この文章が、もやもやしていた自分のイメージにぴったりと合った。
情報を収集・整理する仕事をしている人は、かなり地味な単純労働になっちゃてるんじゃないかなというふうに思える。
で、実際にそういう仕事の人たちというのは、賃金の安い外国の知的労働者に取って代わられるリスクと背中合わせで、成果を出すために新しいツールをどんどん導入して逆に疲れちゃったり、長時間労働しちゃったりしているわけです。
どうすればいいのか
で、どうすればいいのか。
新しい思考法を積極的に取入れて、最近使わなくなってきている脳を使ってあげましょうという話。特に右脳と言われているあたりや、潜在意識と言われているあたり。
神田さんというのは、マインドマップやフォトリーディングの親玉のような人なので、潜在意識を使った思考法という話をするのは最適任者だ。ただ、マインドマップもフォトリーも、かなり普及してきているので、本書の中ではもう当たり前のものとして書かれている。
ちなみに僕はマインドマップもフォトリーディングも習ったけど、両方とも元は取れたなぁと思ってます。フォトリーディングはやっぱり本読むのがすごく早くなって、潜在意識というものを本当に信じるようになったし、マインドマップは日常的に書くようになって、簡単に発想をまとめられるようになった。
知らない人から見ると、ちょっと変な人かもしれないけど、思考のバランスをとるという意味でもすごくいいと思っている。
余談続きますが、フォトリーは説明しづらいので、マインドマップの何がいいかについて。
僕は、絵を書いたり色を塗ったりするところが一番いいと思っている。小学校低学年のころに、チラシの裏の白い面に鼻歌を歌いながら絵を描いていたころの自分に戻れる気がしてくるからだ。(発想の自由さという意味では)天才だった頃の自分に戻れる気がして、とても気に入っている。
本題に戻ると、思考や行動の偏りをなくすために、
- 全脳思考モデル
- Creative Problem Solving
という方法を、具体的なやり方つきで示している。
この2つの能力を、これまで通りの論理的思考やフレームワークなどと併せて使って行動を起こしていくことで、本当の知識社会のはたらき方ができるよ、というのが本書の答えだと思った。
全脳思考
ストーリーテリングの一つの方法論という理解。
ストリーテリングとは、本書にもでてくるけどダニエルピンクの「ハイコンセプト」で取り上げられた、これから必要とされてくる能力の一つで、物語をつくって人の共感を得る力。
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2006/05/08
- メディア: 単行本
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アフォーメーション(ポジティブな質問を自分に投げかけるやり方)を応用した感じか。アフォーメーション、実は数日間試しているのですが、なんとなくいいことが起きる気がしてます。
- 作者: ノア・セント・ジョン,本田直之
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2009/07/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Creative Problem Solving
潜在意識の力を引き出して、今までにないモノを発想する方法論。
「えー、ウソだー」と思うか、「へー、すごいー」と思うかで結構変わってくると思う。僕はフォトリーとかお金払って習っているくらいなので後者。今度ちょうどいい機会があるから試してみようと思う。
問題解決(というと語弊があるのだけど、間違った認識での、という意味で)は、今ある問題を分析して、目標を達成するための解決策
を提示するという診断タイプなのに対して、こちらは奇抜な発想を自分の潜在意識の中からまずは出してみて、その理由を考えていくという探索的なやり方。
で、どうするのか
で、学びオタクにならないためのたった一つの手段は、行動を起こすこと。
闇雲にやり方をなぞるだけだと、それはそれで効果薄そうだけど、自分の人生をよくしていくための行動につなげていくことが一番大事。
それに対して知識社会とは、収集・整理された情報から生み出された新しい気づき・アイディアを実際に、行動に移すことが付加価値となる社会だ。
というのが、一番大事だとやっぱり思った。