弾言

子気味いい弾言の積み重ねが、大きな説得力を持っていた。

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

言わずと知れた小飼断さんの著書ですが、なぜかこれまで読んできていなかった。
うちの奥さんが買ってきてくれたので、
読んでみたところ、404 Blog Not Found とはまた違った文章を味わうことが出来て、とても満足。


本書で心に残ったのは、以下の3点。

人生をバランスシートで考えよう

まずバランスシートの説明が秀逸だった。

これまでバランスシートに関していろいろな説明をみてきたけれど、自分にはこの説明が一番しっくりとくる。負債と資本の違いがすごくはっきりと認識できた。


ちょうど最近読んでいた村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則で、会社の仕組みをちゃんと理解しておかないといけないという問題意識を持っていたところだったので、この話は渡りに船。営業が売りを立てるのは「売掛金」が資産に入り、それを形にして納品することによって売上げ(現金)に変えるのが自分のやっている仕事なのだなと。そういう本当に基本的な理解に早速役立った。


そしてこれを少し応用して、自分という人間もバランスシートで考えてみようという考えも納得のいく話だった。

  • 人としての価値を資産
  • 約束・借りを負債
  • 自分の価値ー他人からの借り=自由を資本

という考え方。

これもさっきのメモリの比喩で考えると、しっくりきた。色々なことを出来るようにするには使用するメモリを増やしていくことになる。そこで仮想メモリは必要だけど、実メモリがあふれてスワッピングが頻発するようになってしまっては結局パフォーマンスはガタ落ち。そうならないためには自分に余裕(実メモリ)が必要になるな、とか色々と考えられる。そもそも総メモリ使い過ぎ(色々なことに手を出し過ぎ)かもしれないし、仮想メモリをもっと増やせる(アウトソースする)かもしれないし、とか。


「個」としての自分にどういう価値をつけたいかということを考えるのは、これからもっともっと重要になってくることだと僕は思っているので、そのときにバランスシートの考え方で客観的評価をするというやり方は有用だなと。

自分が勝てるゲームを作る

これも「個」としての自分にどういう価値を見いだすかという話だけど、「のび太くんはあやとりのアルファギークだ」という考え方はすごく大事。やっぱり自分が得意なことをやらなくては、人並み以上になるのはすごく大変なことなんだろうと思う。もちろん社会人としてまず「人並み」になることはすごく大事で、そのために勉強だったり努力だったりはしなくては行けないのだけど。


アーティストのビジネスモデル | SourceForge.JP Magazine
「1000人のファンがいればアーティストとして食っていける」というのはアメリカでの現象だけど、これから日本でも現実的な話になっていくのではないかなと思う。英語圏ウェブに対してプレゼンスを持てるようになれば、数十億分の1000っていうと数百万分の1の確率でファンになってもらえればいいということだし、物価の誤差が10倍あると考えて一人がくっていくのにファンが1万人いると計算しても、数十万人に一人がファンになって年間に数百円〜数千円自分に対してお金を払ってくれればいいといわれると、なんだか出来そうな気もしてくる。(英語圏文化で理解されるようなアウトプットをだしていければ。)


自分の得意な、自分が興味のある分野で何らかの発信をしていれば、ウェブの世界で大きな見返りが得られる時代になってきたということだ。このことで、お手本にさせてもらいたいのは id:keitabando さん。何年か前からご活躍を拝見しているけど、My Open Archive も軌道に乗ってこられて、とても活き活きされているなぁと思う。インターネットで科学をみんなに、という分野でのコネクターになられているなぁと。いつか直接お会いして、お話を伺ってみたいです。

ベーシックインカム

最近うちの奥さんがお世話になっている新田ヒカルさんは、ベーシックインカム研究所代表なのに自分はベーシックインカムについてだいぶ不勉強だった。弾さんの説明で、ベーシックインカムの目的は経済の活性化にあるということが認識できて、俄然意義深い活動なのだなぁということが理解できた。


今の自由市場での問題は、「金を使うにはコストがかかるので、金持ちが使える金には限りがあるし、金持ちの金の使い方は流通につながりにくい」という理解。「経済効果としては1億円のベンツが1台売れるより、200万のカローラが50台売れた方がよいが、金持ちがどちらを買うといえばベンツということになる」という話は納得。これはお金持ちの人が悪いという話でもないので、お金を回して景気を良くするという目標のために、国レベルで仕組みをつくってそれを回していく必要があると思う。こういう問題についてこれまであまり考えてこなかったので、それが最善なのかはまだ自分なりな意見がないけれど、ベーシックインカムはとても有効そうな仕組みだなと思った。


本書はほかにも色々な気づきを与えてくれて、簡潔な文章の割に本当に盛りだくさんな内容。さすがという感じです。「本を読んだ後には自分を読め」という弾言にしたがって、自分なりに書いておこうと思ったことはこんなところ。色々な気づきを日頃の行動に落としていければと思う。