高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人

高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人 (小学館101新書)

高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人 (小学館101新書)

ストリートスマートについての勝間さんの分析が詰め込まれた一冊。
勝間さんの本らしく、大量の情報が濃縮、整理されて記載されていたので、気付くところが色々とあったように思う。


ストリートスマートという言葉は、もともと大前研一さんがよく使っており、以前から親しみのある言葉だった。ただしその定義は曖昧で、またどちらかというと先天的な、才能に近いもののように感じていたので、本書に書かれているのは勝間さんの定義ではあるにせよ、それを言語化してくれたことは非常に有意義だった。


僕の中で、これまでストリートスマートというように考えていたのは、以下の3つだった。
・人間関係をつくる、活かすのがうまい
・例外処理が得意
・リスクテイカーであり、勝負どころを知っていて、行動できる


本書の中では、それ以外にもたくさんの資質が、多面的に論じられている。
そうした中でも、僕が最近「この人は頭がいいな」と感じている人に共通していたのが、
・「概念のボキャブラリー」を増やす
・頭の中から引き出すきっかけを豊富に持っている
ということの中で語られていたように思う。

ただ、もう1つ大事なことは、頭の倉庫に物をしまうときに、ぐしゃぐしゃに押し込む人と、エリアに分けて整理して置いてある人とでは、巨大な倉庫からデータを引き出すときの引き出し方の難易度が異なります。

このことを説明するに当たって

自分たちの脳の働きを考えるときに、私たちが日常的に使っているパソコンがどのように動作しているかということを理解することは、脳の使い方を考えるためのヒントになります。なぜならコンピュータは、もともとジョン・フォン・ノイマンという天才とそのグループメンバーが、私たちの脳の働きを再現するために、脳をもして作った物だからです。ジョン・フォン・ノイマン情報科学の分野だけでなく、物理学や気象学、経済学の分野でも大きな業績を残したい人で、20世紀の科学者の中で最大の功績を残した人のひとりといわれています。
 ちなみに、・・・

と、話はフォン・ノイマンのことへ脱線(展開)し、ノイマンの生い立ちやパソコンの経緯についてもふれていく。

あるひとつの事象から展開し、その事象を取り巻く世界の歴史や構造を理解して整理し、言葉にできるということは、深い意味でスマートだなあと思っている。もちろん知識オタクになることを指しているわけではなく、今自分が取り組んでいる対象、理解・解決すべき問題に対して取り組む姿勢として、こういう知的に裏付けが出来ている人は、表面的な現象やノイズに惑わされずに行動が取れるように思っている。
本文中でも、

ちなみに、この本を呼んでいる人の多くはフォン・ノイマンという人のことをなんとなくは聞いたことがあると思いますが、この話を読んだ瞬間には、この本を少し横において、ジョン・フォン・ノイマンについて検索をするような癖をつけて欲しいのです。

ということで Wikipedia でみてみました。
ジョン・フォン・ノイマン
たしかにうろ覚えだったノイマンに対する知識が、少し整理され、何より興味を持って頭に入ってきたように思う。「博士の異常な愛情」が、ノイマンをモデルにしたという説もあるのか。この映画もいずれ観てみよう。
正直言って一発ですべて覚えるようなことはできないが、こういうことを習慣的にやっていって、そこで好奇心を行動に移していくと、知識幅も広がり、「生きた知識」が身についていくような実感はできた。
訓練したいところです。


それと本書でもう一つ大事に感じたのは、言語化。

頭がいい、というのは、同じだけの資源を使って、やり多くのことを処理したり、考えたりすることができるということで、そのときに「言語」というのは最強のツールのひとつです。

と書かれているように、頭の中で考えるのも言葉にできなければなかなかアウトプットに変換できないし、人に伝えようとするにも言葉にするひつようがある。ブログを書くのを1年間くらいお休みににしていたところ、自分の中でこうした力が衰えてきたように感じるので、やはり日頃の訓練が大事なように思う。継続が、大事。
ソースを失念してしまったのだけど、「朝起きてからの行動を、すべて言語化する習慣をつけると頭(記憶力)が良くなる」という記事をどこかで読んだことがある。これもエクササイズとしては、とても有効だと思う。


本書に書かれているのは日常に実践できることばかりなので、小さな実践を続けて、訓練していきたいと思った。