bot化する人間

WIRED(アメリカの方)を購読して iPad で読んでいる。
英語なのでそんなにスラスラ読めないが、この記事が面白かった。

Wired [US] August 2011 (単号)

Wired [US] August 2011 (単号)

Social Immortal -STEVEN LEVY (WIRED 19.8)

要は最近 Facebook で自分のお気に入りを「いいね!」して、Twitter でニュースにちょっとしたコメントを書き(Microsoft に皮肉をいい)、Foursqurare にチェックインする、という日々を送っている筆者がある日、サファリパークのサイに潰されてしまって更新ができなくなったとしても、こうした日々のソーシャルメディアの活動はある程度パターン化しているので、bot が自動でやってくれる日がくるのではないか。ソーシャルメディアという切り口だけで見れば、チューリングテストに合格する人工知能が生まれる日は近いのではないか、という感じ。

チューリングテストWikipedia より)

人間の判定者が、一人の(別の)人間と一機の機械に対して通常の言語での会話を行う。このとき人間も機械も人間らしく見えるように対応するのである。これらの参加者はそれぞれ隔離されている。判定者は、機械の言葉を音声に変換する能力に左右されることなく、その知性を判定するために、会話はたとえばキーボードとディスプレイのみといった、文字のみでの交信に制限しておく[1]。判定者が、機械と人間との確実な区別ができなかった場合、この機械はテストに合格したことになる。

確かに自分が Foursquare に登録するところもある程度決まっている(ランチが9割なので)。残り1割が旅行や飲み会という感じなので、都内近郊のそれっぽい人気スポットをランダムに振り当てれば、きっと誰も気づかないだろう。


FacebookTwitter では、最近のニュースや友達のコメントのうち、ある分野(先端技術など)を「いいね」したりリツイートしていればよい。たまに「お疲れ様ー」みたいなコメントでもしていれば良い。


実際こういうことをやっている bot ができたら、本当に気づかないかもしれない。


しかしもう少し考えてみると、これは逆に人間の側がソーシャルメディアというフォーマットに合わせてしまっているために、退化しているともいえる。


これからのソーシャルネットワークは参加しているユーザーの数ではなく、ソーシャルネットワーク上でやりとりされる情報の量が勝負のフェーズに入ってくるというようなことを Facebook のザッカバーグが言っていたが、企業側はユーザーから情報を引き出すために、どんどんUIを簡単ににしてくる。
Facebook の「いいね!」であったり、Twitter のリツイートであったり、Foursquare のチェックインであったり。ほとんどがワンクリック、ワンタップで済んでしまう。


それだけ情報は単純化され、日々そうした情報を受け取り、発信し続ける僕たちもまたどんどん単純化していく。そうして人間個々の思考は規格化され、ソーシャルネットワーク全体を形作る部品のようになっていく。。。
というSFのような世界が待っているのかもしれない。


もちろんこれはいろいろと極論が入っているし、ソーシャルネットワーク企業もそういう方向に進んでいきたいと思ってはいない(と思いたい)だろうが、個々の人間としては気をつけておくべきことだなと思う。