複雑な世界、単純な法則(4)

複雑な世界、単純な法則  ネットワーク科学の最前線

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線

この弱い絆は、実際になんの役に立つというのか?
人間関係以外にも、この事象は認められるというのか?


という疑問が当然わいてくる。


ここからは、それについての実例が示される。


たとえば、パプアニューギニアのホタルだ。

ホタルたちは、最初は二匹、それから三匹、
一〇匹、一〇〇匹というように、ほぼ完璧に同期して
集団で光のパルスを放つようになる。

ぜひとも自分の目で見てみたい光景だが、
その現象の不思議さはちょっと想像もつかない。


だがこれも、弱い絆による集団の特性(スモールワールド特性)であるのだ。


一匹のホタルの光が、自分の周囲数十匹に影響を与えるという状況では、
これほどの同期は起きない。
(このホタルの同期は、1万匹とかのレベルで起きているのだ。)


このホタル1匹を、○として表して、
ホタルが影響を及ぼす関係を線で表す。
モデルとして、ホタルが円形に並んでいるところだ。

これが、近くのホタルをつなぐだけだと
円の反対側に届くまでには、何十ステップもかかる。


ところが、ここに「弱い絆」を加えると、
劇的にこのホタルネットワークの伝達能力は向上する。


モデルでみると、とても当たり前で
とても説得力のあることだ。


1万匹のホタルが同期する、という
自然の神秘としか思えない現象の背後に、
こんなシンプルな法則が潜んでいる。これが真実だとすると、
やはり自然は美しい。


ちなみにこの本も、次に読んでみたいのだが
同じことをテーマにしている。

SYNC

SYNC

スモールワールド研究が盛んになっているのだろう。