パックス・ロマーナ

実はまだその時代までは読んでないのだけど、、、


新婚旅行中は、時間が大量に贅沢に使えるということが予測されていたので、日頃なかなか読まないような大作を読もう!と事前に決めてあり、前々から読もうと思っていた大作を持っていきました。

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

文庫版がでていたので、ちょうどよかった。全40巻だけど。。


とりあえずこれを 1〜10 まで買って、持っていきました。7巻くらいまで読んだところ。


一番最初の正直な感想は、度肝を抜かれた、という感じ。
え、これ紀元前300年の話なの???という感じで、途中で何回も年号とかを確認してしまったり。産業革命以降の近代について書かれた内容です、と言っても納得してしまうような。というか今の話として読んでも、ほとんどが当てはまってしまうような。。。


この 2000年間で、科学技術というのはありえないくらいに進歩して、当時と今とでは比べ物にならない差があるけど(当時の戦争の最強戦車はゾウさんだったりするように)、政治(人が3人以上集まったらそこに生まれるもの、というレベルで)は全く変わってないんだな、と。
これはゲーテの「ファウスト」を読んだ時にも思った感想だったのだけど、あの時は「人間(の頭の中)は変わらないんだな」ということ。今回感じたのは、複数の人間が集まってうまく回るための仕組み(システム)が、2000年もの間にたくさん改善されてきたのだろうに、ほとんど変わってないのか!ということ。ミームという観点でみても、システムが落ち着きやすい極値てきなスポットがあるのかなという感じ。



今と全く変わってないじゃーんという例は枚挙にいとまがない。

  • (現代の)民主党と共和党の違いについても、この本の紀元前にローマで起こっていた政治形態の説明でようやく理解した、とか
  • ハンニバルとスピキオ・アフリカヌスの戦いからは組織論、リーダー論、情報戦略論、みたいな本の元ネタになるようなエピソードが満載(ハンニバルによるカンネの会戦(カンナエの戦い)は、今でもアメリカの軍事学校で習うとのこと!)
  • そのアフリカヌスの失脚とかマリウス・スッラの独裁とかそういったドロドロした世界での身の処し方とか
  • グラックス兄弟の改革と挫折とかは、日本の政治改革をみているよう。。。。


ローマ人というのは、こういうことを 2000年も前に壮大に実験してくれていたのだなぁと。
塩野七生さんの文章は慣れると非常に読みやすいので、物語として十二分に楽しみながら重厚な実用書を読んでいるような感覚がする本。まだ全体の 1/6 までしかきてないけど、これは本当に素晴らしい本だなぁと思ってますね。



ところでローマ時代にも社会システムの歪みからくる雇用対策/失業対策なんかが取られていた訳ですが、解決策はやっぱり戦争か公共事業。これは歴史から学ばなくてはいけないのだと思いますね。かといって、戦争をするというのは論外なので、公共事業をバンバンやっていくべきだと思うなー、とかこの本を読んでいて思っていたのですが、大前研一さんがメールマガジンでいいことを言われていた。

大前研一 ニュースの視点blog

具体的には、もし私がオバマ次期大統領の立場ならば、1つの解決策として「地球破壊者に対する戦争」という定義をすることで「新しい」ニューディール(New New-Deal)政策を打ち立てます。

つまり、地球を破壊しようとするものに対して、環境を破壊しようとするものに対して、世界中が手を取り合って「戦争」を挑むべきだと主張するのです。

「地球破壊者に対する戦争」ならば、実際の「戦争」を引き起こすことなく、巨大な経済的効果を期待できると私は考えています。

実際に「戦争」をするのではなく、巨大な経済的効果を得るというのは大きなポイントです。

日本の明治維新後の勃興も、国をあげての近代化と戦争によってなりたってきたわけで、日本人は皆が同じ方向を向きやすい、皆がそれなりに優秀という性質からすると、こういう大義名分をもって皆が頑張れるようにすると、飛躍できるのかも、と思った。


P.S.
そういうことを考えて帰国してみたら、Googleさんがベストタイミングな企画を。。。
http://earth.google.co.jp/rome/
ちょw 何このタイミング。。
2000年と5年ぶりのローマ観光ができました。